パパは中卒で人より早く働きはじめた。大卒の人に負けないようにと、30歳になるくらいまでそれこそ1日24時間ずっと働きどおしだったらしい。
『大卒よりもお金を稼ぐ』これが、パパのコンプレックスであり生きる原動力なのだ。酔っ払うと大卒に喧嘩を売る。わたしはパパの痛さが好きなのかもしれない。
そんなパパが50歳で仕事を引退するといいはじめた。パパの職業は土建屋さん。建物をたてる仕事だから収入も多いけど借金も多い。50歳まであと7年。
7年間の間に借金をチャラにして退職金をとり社長をNo.2にバトンタッチできたら、パパは『大卒よりもお金を稼ぐ』という目標をクリアしたことになるのだそうだ。
その願掛けのためにタバコを辞めた。そして禁煙鬱になった。
鬱になったけど、お金への執着心は人一倍強いパパのことだから7年経つまでタバコを吸うわけがない。
この頃から我が家はセックスレスになった。
ちなみに今、セックスレスになってから1年が経過している。
はじめの半年間はひとりで見よう見まねでセックスレス解消するためにもがいていた。こどもが生まれてからパパは家でするのを嫌がる。なので必ずラブホテルに行くしかない。『今日ラブホテルいく?』と誘う。パパの断り文句もさまざまだった。『明日ゴルフだからスコア悪くなっちゃうんだよね』『今日はゴルフやりすぎたからもう腰がくだけちゃう』『飲みすぎた。。。』そして、ガツガツ誘ってると
『あのね、女からガツガツ誘われると性欲なくなっちゃうんだよね』と一言、言われてしまった。
そっから先は、週に1回くらい淡々と誘うようにした。ラインで『今日ホテルいく?』と送ると既読スルーになる。家に帰ってきてから、行きたそうなそぶりを見せない限りは、2人で健康ランドに行ったり、映画をみたり、食事をしたりと楽しく過ごしている。が、そぶりを感知すると、はやばやと保育園にこどもを迎えにいこうとする。半年経ったときにまたぽつりと言われた。『7年で人生の清算でしょ。ドキドキするし怖いんだよね。性欲もなんかわかない。』この瞬間、もうわたしの手には追えない、と悟り友人に相談することにした。
はじめに言われたのが『エッチな気分になるお香をたけ!』。
ムスクの香りを購入した。パパは家に帰るなり『今日動物園の匂いがする』と言ってお香を全部捨てた。
次に『精力をます薬を飲ませろ!』ドンキに行ったとき蟻の精力剤があったので、カゴにすっと入れたら、気づいてすっと戻された。
その後、全裸攻撃。メインベッドならぬ第二のソファベッドの購入。パパは、『頭がおかしくなったの?』と、ソファベッドも捨てらた。
ここまできたら、さすがの友人も頭を抱えはじめた。
今度は『セックスはただ性欲を満たすというより愛情確認って意味があるんだよ。
そういうのがないと不安なんだ。と恩情に訴える方法。
返ってきた言葉は『7年間で俺の人生、決まるんだよ。そりゃピリピリするでしょ。』
わたしの不安など、まるっきし、パパの頭にはないのだ。といいながら気持ちがわからなくもない。わたしも会社を経営をしはじめてから12年がたつ。
はじめるときは思いもしなかったけど、働いてるときも休みのときも考えるのは、ずっと会社のこと。うまくいっても先のことを考える。自分のお金の問題が解決したら社員、そして社員の老後。とにかくお金のことお金のことお金のこと。
パパはもう卒業したいのだ。トランプでいうところの勝ち逃げをしたくてしたくて、たまらないというわけだ。
話をセックスに戻すがあの手この手を使って1年間がんばってきたけど今のところ全敗だ。でも、友人と策を練り今後もがんばる。7年経つまでにセックスできたらわたしたちの勝ちだ。そのときはセックスレス打破のノウハウを公開するので楽しみにしていてほしい。